総合内科よわ医の貧弱ブログ

貧弱な総合内科医が好きなことを好きなように書きます。

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良い医師 (内科医)がしていること 外来編 その1



はじめに

 ブログのタイトルで医師と言うことをアピールしておきながらほとんど医療系の記事を

書いておりませんでした。理由はいろいろあるのですが、

専門であるが故に逆に何を書けばいいのかわからなくなったり拘りが出てしまうんですよね。

 

今回は良い内科医とは?というテーマで、自分への戒めも込めて書かせていただこうと

思います。私は内科医であり他科のことは書けないので、内科医限定としました。

テーマが壮大すぎるので、今回は外来のみに限って書きます。

 

書いていたら長くなってしまったので、今回はパート1になります。

 

良い内科医がしていること

 どのような書き方にしようか迷いましたが、良い内科医がしていることとしていないこ

とに分けて記載してみようと思います。まずはしていることから。

患者さんの話をよく聞く

いやいや当たり前だろそんなこと!というお気持ち、よくわかります。ですが外来であ

まり患者さんの話を聞かない医者って、結構多いと思います。ひたすらディスプレイを

眺めてばかりで、話を聞かない医者に遭遇したことはありませんか?

 

医者として、このような行動をとってしまう医者の気持ちもわかるのです。単純に申し

上げると時間がなさすぎる、ということになるのですが医者の実際の勤務内容について

はまた別に記事にしたいと思います。

 

なぜ患者さんの話を聞くことが重要かというと

  1. 患者さんとの信頼関係構築のため

  2. 治療方針決定のため

  3. 患者さんの変化に気がつくため

  4. 病歴聴取のため

 1は当たり前として、2から4についてはひとつずつ解説します。

 

  • 治療方針決定のため

 糖尿病の患者さんを例に考えてみます。糖尿病の患者さんの一部は血糖値のコントロ

ールのためにインスリンという血糖を下げるホルモンを注射する必要があります。

 

 ある患者さんは一日4回のインスリン注射を行っていましたが、血糖コントロールがい

まいちでした。その時、患者さんとこんな会話がありました。

 

最近少し血糖が高めですが、何か心当たりはありますか?

実は最近仕事が忙しくインスリンを1日2回しか打てていなくて。。

そうだったんですね!2回打ちの製剤に変えてみましょうか?

ありがとうございます。それならできそうです!

 

このように、治療方針の決定にはただデーターやエビデンスだけを重視しているだけで

はダメなのです。目の前の患者さんの状態を的確に把握することで始めてよい治療がで

きると思います。

 

いやいや、これくらいの会話普通じゃないんですか・・?

と思ったあなた、それは正しいですが現実はそうでもないのです。信頼関係がないとこ

んな会話になってしまうでしょう。先ほどと同じ患者さんです。

 

血糖値高いですね。食事制限できてないんじゃないですか?どんどん血糖上がっちゃいますよ!

すみません (それもあるけど、インスリン打ててないなんて怖くて言えない。。)

ちゃんとやってくださいね。インスリンの量増やしておきますからね!

は、はあ (もうこの先生に通うのやめようかな。。)

 

これでは適切な治療ができませんね。

普段から患者さんにとって喋りやすい環境を作ることが重要

す。いろいろなテクニックがありますが、一例として私は必ず「最近変わったことやご

不安なことはありませんか?」と聞くようにしています。

 

いわゆるオープンクエスチョンというやつですね。この先生喋りやすいな、と思っても

らえたら最高です。

 

  • 患者さんの変化に気が付くため

内科の外来では生活習慣病など、いわゆる「完治しない病気」を診ることが多いです。

そのため、一人の患者さんと長期にわたって向き合うことになります。文字通り内科医は患者さんの人生そのものに寄り添うことになるのです。

 

患者さんと常に会話をしておくと、元気なときとそうでないときが見分けられるように

なってきます。

 

元気がなさそうなときに、もしかしたらよく眠れていないんじゃないか?とか、高齢の

患者さんであれば少し認知症が進んできているな、ご家族の負担は大丈夫だろうか?

などいろいろなことを気にかけられるようになります。

 

悪いデーターを見て悪いと判断できるのは当たり前ですが、会話や見た目だけで患者さ

んの異常が察知できると医者としてもうれしいですし、患者さんからしても診てもらえ

ていると感じるのではないでしょうか。

  • 病歴聴取のため

これは今までのお話とは少しずれてはしまうのですが。。内科に限ったことではないの

ですが、特に内科は病歴が命!だと思います。病歴だけで診断をつけられたり、今後の

経過を予測することが可能なのです。たとえば新規の紹介があったとして、

 

  • むくみ、尿の泡立ち → ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症

  • 朝のこわばり、関節痛 → 関節リウマチ

  • 若いころから血圧が高い、降圧薬の効果が不良 → 原発性アルドステロン症

などなど、実際はこんなに単純な話ではないのですが、話だけでも診断もしくはその予

測ができることは多々あるのです。

 

 病歴聴取というと医者が患者に一方的にいろいろなことを聞くというイメージになって

しまうかもしれません。ですが、医者が質問したことだけでなく、患者がしゃべったキーワードに重要な情報が隠されていることが少なくありません。

 

自分がよく行うテクニックとして、「何か言い忘れたことはありませんか?」というの

があります。患者さんが「そういえば・・」ということに非常に重要な内容が含まれて

いた、という経験が何度かあります。

 

患者さんからうまく話を引き出して、的確な病歴聴取を行うということが良い内科医の

重要な要因となると考えています。

まとめ

 最後まで読んでいただきありがとうございます。長くなってしまいましたが、結局は

きちんと話を聞いてくれる、話をさせてくれる内科医が良い内科医ということですね。

内科医とはどうしても長い付き合いになることが多いです。皆さんにとって良い内科医

を見つけることができることを祈っております!