はじめに
今回は2020年11月に発売された「妻が口をきいてくれません」を読んだので、感想を書いてみたいと思います。一時期広告によく出ていて、軽い気持ちで買ってしまったのです。読んでみたら、とんでもない本でした。夫の視点から始まり妻の視点、そして最後に夫婦の視点で物語が進行します。最初にまとめです。
- これは男性にとってはホラー漫画です。背筋が凍る怖さです。
- コメントの多くが妻側を擁護するコメントであり、自分の感覚が世間のそれとずれているのかと自信が無くなりました。
- 女性は、不快な記憶が一生残る。そして、決して忘れることはない。
- 夫婦喧嘩の一番の被害者は、夫でも妻でもなく、子供である。
5年も無視!?クレイジーだね
この手の本や漫画って、モラハラをはじめとした問題のある夫が、我慢を積み重ねた妻に逆襲されるという勧善懲悪パターンが非常に多いんですよね。そういう意味ではこの本もそのパターンです。
育児や家事を妻側が負担し、大変な毎日を送っているのにもかかわらず夫は全く気が付かない。気が付こうともしない。そのような日々を送っていくうちに、妻には不満が積もっていき、ついには爆発するのです。この部分に対しては、読んでいて自分にも当てはまる部分が多々あり、読むのがつらかったです。
モラハラはしていないにしても、妻の気持ちに寄り添うというのは意識していないとできないという男性は結構多いのではないでしょうか?私はそうでした。妻のヘルプのサインにアンテナを立てていないと、容易に見逃すということをうまく伝えていると思います。
しかしながら、この本のすごいところはここからなのです。よくあるのは妻が離婚を切り出したり、家を出て行ったりして、そこで夫が初めてマズイ!ということに気が付く。残念ながら時すでに遅しで、夫ざまあ、というパターンです。ところが、妻のとった行動は、「夫を完全に見切りをつけつつも、離婚せず無視で対応」というものだったのです。しかも、なんと5年もですよ!
どっちもどっち
確かに、本作における夫の行動には問題が多々あります。妻の頑張りを認めず、感謝もしない。挙句の果てに上から目線で説教じみたことまで言ってしまう。これに妻が腹を立てて失望、というか絶望してしまうのは仕方がないことだったのかもしれません。
だからといって、5年間徹底的に夫を無視するというのはいかがなものでしょうか?これこそ本作で最大のモラハラだと思ったのは私だけなのでしょうか。。私だったら5年も耐えられませんね。冒頭でこの本がホラー漫画と言ったのは、妻の5年間の無視が理由の1つです。怖すぎです。
夫は夫で妻に甘えていましたが、妻は妻で自分がつらいと思うことは、無条件で夫も理解してくれると思っていたのではないでしょうか。夫婦ってそもそも他人だし、性別も違う (同性婚もありますが)のですから自分のことをわかって、とか察して、と思うなら対話が必要なのではと思います。
結局、本当は妻も関係の回復を望んでいたものの、なにか行動を起こすことなく時間だけが過ぎていきます。最終的に夫に離婚を切り出されて、そこで出てきたセリフが「私はまだ好きなのに?」でした。私はハア?と思いましたよ。何をいまさら言っているの?と。
結局一応はハッピーエンドのようになるのですが、妻が通帳を見つめているシーンは、何かあればまた見捨ててやる、としか思えませんでした。これがホラーといった二つ目の理由です。この夫婦、フィクションとはいえきっとうまくいかないでしょう。夫が本当にかわいそうでした。
コメントを読んで驚いた
読んだ後にamazonのコメントを読んで驚きました。妻を擁護するコメントが多かったからです。私は妻がさすがにやり過ぎなのでは・・?と思ったのですが。。
夫のしたことはそれだけ罪深いことと認識をしなければいけないと思わされました。
女性は不快な記憶は一生消えることがないのですから。
最大の被害者は子供である
夫婦喧嘩の話ではありますが、この漫画には子供も出てきます。この漫画で一番大人だったのは、子供であると思います。妻や夫に散々振り回されたにもかかわらず、最後に夫が離婚したいことを打ち明けた際に、自分たちはもう十分成長したから離婚したければしてもいいよ、と言うのです。
この時の子供たちの事を思うと、何と言ったらいいのか。。子供たちって、わかっていないようでいろいろなことが分かっているんですよね。もちろん夫婦関係が悪ければ、それは隠そうとしても無理なのです。
子供ために離婚しない、ということをいう人がいますが、常々それは違うだろうと思っています。
さいごに
正直この本にあまり良い印象がありませんが、女性がどのように不満が積み重なっていくのかがよくわかるのは良かったと思います。長期間の無視に入る前、入った後もほかにもっと良い方法があったと思ってしまいます。私としては夫はもちろん悪いが、妻に問題がなかったとは到底思えない。そして、何より子供がかわいそうでした。
結婚の現実を知るという意味では、読む意味があると思います。